「バイオリンは難しい楽器だから、初めて弾く時にはノコギリのような音しか出ないよ」などという話を聞いたことがあります。
たいていこのような話は、バイオリンを弾いたことのない人同士でされていることが多いです。
そんなに音を出すのが難しいなら、「バイオリンを始めることができるかな?」と心配になったものです。
今となっては、教えてくれる人がいるなら、何の音かわからないような、ノコギリを引くような音しか出せないということは、滅多にないと思っています。
それに、はじめのうちから、ちゃんとした音を出せる人ももちろんいます!!
とはいえ、キレイに響く音を出すには、コツが要ります。コツがわかるまでは、ノコギリ音や、キーキー音が出てしまうこともあるでしょう。
今回は、よく言われるノコギリ音の正体に迫ってみたいと思います。
ノコギリのような音になる理由
「ノコギリのような音」は、表現としては間違っていません。「ギギッ」というガリガリした音のことです。
確かに力を入れ過ぎると、「ギギギッ」となることがあります。
力が入り過ぎるとこのようになりやすいです。弓で押さえる力が強いのに、弓をほとんど動かさないので、バランスが悪い状態です。
弓に圧を入れても、弓を引くスピードを上げれば、意外とあっさり出したい音が出ます。一定以上のスピードを出さないと、ギリギリとしたノコギリ音になります。
適切な圧とスピードの時に、よく響くいい音が出ます。
まずは、音がきれいに出るような弓の力の加減と速さを覚えると、ギギッとなりそうな感覚もわかるようになるので、ノコギリ音を回避できるようになります。
キーキー音とは?

ノコギリ音に次いで嫌な音は「キーキー」という音です。
こちらは、ノコギリ音とは逆の原因で、押さえる力が弱いのに弓を速く動かすときにできる音です。
上滑りしたような音で、このような音が出ていると弾いていて気持ちよくありません。
適度な圧力とスピードにはかなり幅があるのですが、そこからはみ出ないように弾くのがコツです。
かすれるような、スーッとした音しか出ないときは、弓の毛に松ヤニが足りないだけかもしれないので、とくに新しい弓の場合にはしっかりと松ヤニをつけると、しっかりとした音が出るようになりますよ。
※ 松ヤニについての記事
初めてでどれくらい弾けるか?

はじめてバイオリンに触って、音を出してみるときに、意外と普通に音がでる人もいますし、ガリガリッとなる人もいます。
だんだん慣れてきれいな音が出せるようになりますが。
感覚的なこともあるので、その日のうちにコツをつかめる人もいれば、時間がかかる人もいます。
我が家を訪れた方々で、興味があればバイオリンに触ってもらうことがあるのですが、いい音を出していく人もいれば、遠慮してあんまり音を出さずに終わる場合もあります。
実際に触って音を出してみると、バイオリンがどんな楽器なのかがわかりやすいですよ。
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まずは楽器を構えて音を出してみよう
最初に覚えるのは、楽器の扱い方と、正しい持ち方、弓を引いて音を出すことです。
はじめは、バイオリンを肩に乗せてあごではさむ姿勢は、キツく感じるときもあります。
緊張して、余分な力が入ってしまっていたり、これまで使ってこなかった筋肉を使うせいで肩が凝ってしまうこともしばしばですが、慣れれば大丈夫になります。
※ 肩こりの記事
肩当てをつけてみよう
肩当てをすると、バイオリンを構えるときに、安定して支えやすくなります。

プロのバイオリニストで、肩当てなしで演奏している人もいますが、初めてバイオリンを引いてみる時には、肩当てがあった方が弾きやすいです。
首の長さや体型は人によって違うので、初めて肩当てを試す時には、高さなどを調節して、バイオリンを挟んだ時に、不自然な姿勢にならないかを確かめておくと良いでしょう。
(関連して、「体に合った肩当てを選ぶには」の記事もどうぞ。)
【バイオリン用の肩当て】
メイプル素材の肩当てで、音の響きが明るくなったように感じました。
はじめは、樹脂素材の肩当てでも問題ないですが、ちょっとアップグレードしたい時にメイプル素材はおすすめです。
きれいな音が出るまで
いつもかすれずにきれいな音を出すのは、簡単ではありません。とくに弓の動かし方は、演奏に大きく影響します。弓の角度、かける圧力、スピードのバランスが大切です。
まずはノコギリ音にならないようにし、音を響かせるように出せるようにします。
ひどいノコギリ音を脱出するのは、それほど時間がかからないと思います。
少しずつ上手になっていく過程も楽しめるといいですね!
バイオリンは、音程を正確に取ったり、和音にしたり、ビブラートをかけたり、いろんなテクニックが必要に見えますが、まずは基本の持ち方と弓の動かし方を修得してから、少しずつできる技を増やしていけば大丈夫です。
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バイオリンに向いている人

はじめてバイオリンを触って、ブォーンと響く感覚がわかると、嬉しく楽しくなります。
ここで、「楽しいな~」と思えると、練習を続けやすくなるのではないかと思っています。
バイオリンという楽器を好きになれる第一歩ですね。
もっと弾いてみたいという気持ちになれれば、バイオリンに向いているかもしれません。
「向いているかわからないな~」、と心配であれば、まずは誰か知っている人に頼んで楽器に触らせてもらったり、体験レッスンなどをしてみるといいかもしれませんね!
プロのように上手になるには、元々の勘の良さだけでなく、毎日の練習も必要です。
継続できる意欲や根気強さも才能の一つだと思います。
一流のプロになれるくらい向いている人はほんのひと握りかもしれませんが、上手になって演奏を十分に楽しんでいる人は大勢いますので、興味のある方は、ぜひバイオリンに触れてみてほしいな、と思っています。
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